パワートレーニング

【目安】TSSからロードバイクの疲労を理解しよう

こんにちは、自転車競技コーチのとおる( @toruito16 )です。

こちらのブログでは、ロードバイクのトレーニングについて解説しています。

ととまる
ととまる

トレーニングについて悩んでいます。

 

TSSの目標 (目安) について教えてください。

以上のような、TSSに対するお悩みについてにお答えします。

✔︎ この記事の内容
・ TSSの意味と計算方法
・ TSSの目安 ( 目標数値 )

当ブログでは、 パワートレーニングに Training Peaks を利用することをおすすめしています。

Training Peaks を利用する最大のメリットは、パワーデータを細かく分析することができること、トレーニングの進捗が明確に理解できることです。

TSBを活用する場合は、Training Peaks の PMC ( Performance Management Chart )活用しましょう。

 

TSSとは

TSSは Training Stress Score といい、ワークアウトの強度・時間をもとに考慮しされた疲労を数値化(可視化)した指標です。

具体的には、Eric Bannister (エリック・バニスター)博士の心拍数を基準として考えられたトレーニング強度の指標( TRIMP : TRAINING IMPULSE – トレーニングインパルス )を参考にしながら、トレーニング強度(IF)と運動時間に対して使用されるグリコーゲンの消費量(割合)を表しています。(1)

そのため、TSSは FTP強度で1時間走行した場合は100 となるよう、以下のように算出されます。

【TSSの計算式】(2)
TSS = {( T × NP × IF ) ÷ (FTP×3600)}× 100
※T = 運動実施時間(秒数)

【簡易化したTSSの計算式】
TSS = T × IF2^2 × 100
※T = 運動実施時間(時間)

FTP300wの人が、1時間走行した場合を参考に計算してみます。

【例 : TSSの求め方】
TSS = {(3600秒 × NP 300w × IF 1.0 ) ÷ (300×3600)}× 100 = 100

【簡易化したTSSの計算式】
TSS = 1時間 × IF1^2 × 100 = 100

そのため、運動時間が長くなったり、インターバルにより連続的に高強度をおこなうような場合は、TSSが高くなる傾向にあります。

パワートレーニングに関する用語

TSS 以外の単語で気になることがあれば、以下の記事を参考に確認してみましょう。

 

TSSの目安

今まで、TSSは絶対値に基づいて以下のようにワークアウトの強度を定義付けされていました。(1)

TSS150 以下 … 低強度 (翌日に疲労は回復する)
TSS150-300 … 中強度 (2日後に疲労は回復する)
TSS300-450 … 高強度 (回復に2日以上要する)
TSS450 以上 … 超高強度 (回復に数日要する)

 

しかし現在では、CTLに対する相対値として以下のようにワークアウトの強度を定義付けされるようになりました。(3)

高強度のワークアウト : CTL の 50-100% を加算する
中強度のワークアウト : CTL の 25%を加算する
提供度のワークアウト : CTL の 25%を減算する 

イメージしやすいように実際に計算してみると、以下の様になります。

【CTL 100の場合】
高強度のワークアウト : 150 – 200 TSS 程度
中強度のワークアウト : 125 TSS 程度
低供度のワークアウト : 75 TSS 程度

【CTL 50の場合】
高強度のワークアウト : 75 – 100 TSS 程度
中強度のワークアウト : 63TSS 程度
低供度のワークアウト : 38TSS 程度

 

以上を参考に、自身のCTLに合わせたTSSを考えて、ワークアウトを決定してみるといいでしょう。

CTLとトレーニング

CTLを参考にTSSを考えたトレーニングプログラムを、以下の記事にて紹介しております。

参考にどうぞ。

 

数字が同じでも疲労は異なる

ワークアウトの種類が異なれば、同じTSS100でも疲労度が異なる場合があります。

というのも、TSSはあくまでもFTPを基準としたグリコーゲンの消費量を表しているため、解糖系でない代謝回路が多用されるワークアウトでは、エネルギー消費量も筋繊維のダメージ量も異なると考えられるためです。

以下の場合がそれに該当すると考えられます。

SIT : Sprint Interval Training

十分に休息しながら、短時間高強度(30秒以下の全力走行)に取り組むワークアウトでは、 クレアチンリン酸を活用しながらATPを生み出すホスファゲン機構がメインとなるため、代謝的(内臓的)疲労度が異なると考えられます。

また、それだけでなく、動員される筋繊維の種類(タイプⅡa / Ⅱb)も異なると考えられるため、筋肉への疲労度も変わると考えられます。

HIIT : High Intensity Interval Training

十分に休息しない状態で行う、短時間高強度(20秒 – 60秒の全力走行)のインターバルトレーニングでは、解糖系だけでなくSIT同様にホスファゲン機構の代謝利用も多いため、人によっては疲労度が異なると考えられます。

また、SIT同様に、動員される筋繊維の種類が異なると考えられるだけでなく、インターバルの特性として筋の発火頻度(稼働率)が高まる傾向にあるため、TSSの数値以上に疲労を強く感じることが多いと考えられます。

本記事のまとめ

TSSはトレーニング強度や運動時間に伴って消費されるグリコーゲンの量を参考に考えられています。1回のワークアウトに伴うTSSは、自身のCTLを参考にしながら、TSBの変動に伴って適切な休息を導入しましょう。

また、ワークアウトの種類によっては、TSS以上の疲労を感じることもあると考えられますので、日常的に疲労感覚をメモしながらトレーニングのバランスを考えることができれば、継続的なトレーニングが可能となり、パフォーマンス向上につながると考えられます。

以上を参考に、トレーニングに励みましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(1) Normalized Power, Intensity Factor and Training Stress Score
(2) Training Peaks Help Center – Normalized Power 
(3) Applying the Numbers Part 2: Training Stress Score

● この記事を書いた人
伊藤透 ( プロフィールは こちら )

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