こんにちは。
自転車競技コーチのとおる( @toruito16 )です。
こちらの記事では、ロードバイクのトレーニングについて解説しています。

CTL について悩んでいます。
CTL の目標 (目安) について教えてください。
以上のような、CTL に対するお悩みについてにお答えします。
✔︎ この記事の内容
・ CTLの意味と計算方法
・ CTLの目安 ( 目標数値 )
・ CTLを考慮したトレーニングプログラム
当ブログでは、パワートレーニングに Training Peaks を利用することをおすすめしています。
Training Peaks を利用する最大のメリットは、パワーデータを細かく分析することができること、トレーニングの進捗が明確に理解できることです。
CTL を活用する場合は、Training Peaks の PMC ( Performance Management Chart ) を活用しましょう。
CTL とは
CTL は Chronic Stress Load といい、長期間(42日間程度)にわたって積み重ねてきたTSSを数値化したもので、体力(fitness)として表現されることが多いです。
そのため、CTLの値が高い = 体力(fitness)レベルが高いと考える方がいますが、あくまでも自身の目的目標に対して、必要となるパフォーマンスを高めるためのトレーニングを積み重ねた結果であるため、高いパフォーマンスを発揮できるとは限りません。
CTL が高くても勝てない選手はいますし、反対にCTLが低くても勝てる選手もいます。
私自身の指導経験として、CTLが100以下でも、全日本自転車実業団のJプロツアーで優勝したり、全国大会を優勝する選手もいました。
CTLが低くても、根幹となるパワーが高く、なおかつレースを走行する技術が高ければ勝てる可能性が高くなります。CTLだけでなく、パワープロフィールや戦術・戦略といった技術的なことを考えながらトレーニングしましょう。
CTLは以下のように算出されます。
【CTLの算出方法】
CTL Today = CTL Yesterday + ( TSS today – CTL yesterday ) × (1/CTL time constant)
パワートレーニングに関する用語
CTL 以外の単語で気になることがあれば、以下の記事を参考に確認してみましょう。
CTL の目安
とはいえ、目的目標(自身が挑戦するステージ)において、必要となるパフォーマンスを高めるためのトレーニングを実施した結果、どれくらいになるのだろうかという参考値は理解しておくといいかもしれません。
Training Peaks の記事 ” Suggested Weekly TSS And Target CTL ” によると、 CTLの目安やそれに伴う1週間単位の運動時間・TSSは以下のように区分されています。
※ 新しい指標となっています。

上記の図では Road Racing で表記されている数値の振り幅が大きいため、結局何を参考にすればいいかわかりにくい状態になっています。また、自身の現在のレベルや、日本国内レース参戦者のパワーデータを参考に作成されたわけではないので、明確に掴みにくい部分があります。
そこで、以前 Suggested Weekly TSS And Target CTL に掲載されていた指標を参考に、日本国内のレースに合わせた目安となりそうな指標を、自身の指導経験に基づいて作成してみました。
興味のある方は以下の図を参考にしてください。

ただし、目標としているステージに早く到達したいからという理由で、CTL50にも関わらずCTL120の人と同じようなトレーニングをするということがないようにしましょう。
トレーニング負荷の総量は、自身の成長速度に合わせて高めていくものです。以下の記事を参考に、徐々にトレーニングで蓄積される負荷に慣れていきましょう。
Training Peaks の記事 “A Coach’s Guide to ATL, CTL & TSB” によると、1週間単位で増加できるTSSは5〜7程度とされています。
しかし、(例として)実際に3週連続で1週間ごとにTSSを5~7程度増加させると、かなり疲労が溜まってしまいますし、カラダを痛めてしまうことがあります。そのため、個人の指導経験上、1週間単位のTSSの増加量は3~5程度にすることをオススメしています。
また、1週間単位の量・強度を自身の現状に合わせて細かく調整しながら、2週間または3週間経過ごとに1週間の休息週間を設けるようにしていきますしょう。
CTLに基づいた1週間のトレーニング
目的目標ごとの1週間のトレーニングプログラムを、CTLから逆算するように考えて、1日毎の運動時間とメインとするワークアウトを実施した結果、発生すると考えられるTSSをイメージしながら作成しました。
現状で、トレーニングプログラムが定まっていない方は、こちらを参考に実施してみましょう。
✔︎ トレーニングプログラムに関して
こちらのプログラムは、土日休みの方を参考に考えています。
頻度や時間など、各個人の生活スタイルによって異なるはずですから、自身に合った方法は試しながら模索しましょう。
また、もちろんですが、優勝できるかは別のお話です。
各カテゴリーでのレースを十分に楽しむための基準だとお考えください。
週末ライダーの場合
こちらは、週末ライダーとカテゴリーを分けていますが、これからロングライドやエンデューロなどのイベントに参戦する方や、健康的なフィットネスとしてサイクルトレーニングをおこなう方をイメージしていただければと思います。
本記事を参考にする前に、上記の記事を参考に、まずは自身のライフスタイルに合ったトレーニングを試しながら、継続してみましょう。
⚫︎ ポイント
1週間の運動時間 : 自分がどれだけトレーニングに使えるかを確認
1週間の積算TSS : TSSはそれほど重要ではない
CTL 予測 : 50前後
※ 最低運動時間は週5時間程度確保するようにしましょう。
地方レースを目指すなら
こちらは、地方レースとカテゴリーを分けていますが、これからレースに参戦する選手や地方レースの初心者から初級者カテゴリーをイメージしていただければと思います。
1週間の運動時間を8時間程度 (460TSS) となるようにトレーニングプログラムを組み、CTL70前後になるように調整しています。

⚫︎ ポイント
1週間の運動時間 : 8時間
1週間の積算TSS : 460TSS
CTL 予測 : 70前後
※ 最低運動時間は週6時間程度確保するようにしましょう。
⚫︎ 地方レース(想定)
平田クリテリウム : C4-C3 想定
AACA : 1-4から1-3 想定
E3 – E2 (実業団レベル) を目指すなら
こちらは、これから実業団レースに参戦する方を対象としていますが、地方レースの中級者から上級者カテゴリーも該当すると考えています。
以下のようなトレーニングプログラムを参考にしてください。

⚫︎ ポイント
1週間の運動時間 : 11.5時間
1週間の積算TSS : 610TSS
CTL 予測 : 90前後
※ 最低運動時間は週9時間程度確保するようにしましょう。
⚫︎ レース(想定)
高校生 : インターハイ・全日本選手権 etc
平田クリテリウム : C4-C3 想定
AACA : 1-4から1-3 想定
JPT – E1 を目指すなら
こちらは、実業団レースでもE1、JPTという日本最高峰レベルのレースに参加する方を対象としていますが、ツール・ド・おきなわやニセコクラシックといったレースを走られる方も該当すると考えています。

⚫︎ ポイント
1週間の運動時間 : 17.5時間
1週間の積算TSS : 870TSS
CTL 予測 : 110前後
※ 最低運動時間は週14時間程度確保するようにしましょう。
⚫︎ レース(想定)
大学生 : インカレ・個人戦ロード
社会人 : おきなわ210km ・ニセコクラシック 150km など
TSSの参考
各レベルごとに参考となるトレーニングプログラムをお伝えしましたが、それぞれのCTLによって1回のワークアウトにおけるTSSは異なります。
各目的目標に、以下の記事を合わせて、現状のCTLに合わせたワークアウトを考えて実施してみましょう。
「パフォーマンスがあがらない…」と感じる方へ
CTL という数値は、あくまでも必要であるトレーニングを積み重ねた結果であるため、CTL が高いことがパフォーマンスが高いことと、必ずしもイコールになるとは限りません。
CTL はトレーニング負荷(TSS)が継続して蓄積された結果、トレーニング負荷に対する耐性が数値化されたものであり、コンディションの指標として使われるものです。※TSBの算出など
そのため、求めるものはCTLではなく、パフォーマンス(パワーなど)であることを忘れないようにトレーニングを継続しましょう。
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⚫︎ 「個別にメニューを作って欲しい…」 とお考えの方は >>オンラインコーチング
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をオススメいたします。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。