ポジションについて

ロードバイクのクリート位置について

こんにちは、自転車競技コーチのとおる( @toruito16 )です。

こちらのブログでは、ロードバイクのトレーニングについて解説しています。

ととまる
ととまる

ポジションについて悩んでいます。

 

クリートの位置について教えてください。

以上のような、クリートの前後位置とその意味についてにお答えします。

✔︎ この記事の内容
・ クリートの基本的な位置
・ クリートの位置による影響

パフォーマンスだけでなく、カラダの痛みを感じないようにロードバイクに乗り続けるためには、最適なポジションを理解することが重要です。

こちらの記事を参考に、自身に合ったクリートの位置を探してみましょう。

クリート位置の基本

本記事を書くにあたり、まず私の Twitter にてクリート位置に関するアンケートを用意しました。

結果としては、後方(かかと)またはニュートラルに調整している方が多いようです。

そんなクリート位置ですが、さまざまなフィッティングにて母指球と小指球の間に、ペダルの車軸が収まることを推奨しています。( AE Stuart , 2021 )

An external file that holds a picture, illustration, etc. Object name is sensors-21-05899-g001.jpg
出典 : The Effect of Cleat Position on Running Using Acceleration-Derived Data in the Context of Triathlons
(例 : スピードプレイ)

私自身もフィッティングをおこなう場合は、 母指球(1st)と小指球(5th)に対して並行に引かれた点線の範囲内が収まるようにクリートを調整しており、この中心部分をニュートラルとしています。

本記事では、母指球またはそれよりもつま先側を前側 , 小指球またはそれよりもカカト寄りを後側とした定義した上で、パフォーマンスの変化や膝の痛みについて説明していきたいと思います。

ただし、足の形状によりニュートラルの位置は異なりますので、以下の記事を参考に、自身のクリート位置の定義を考えながら確認しましょう。

【足の形について】
>> ロードバイクのシューズの選び方

⚫︎ エジプト型
: 親指が一番前に出ている
⚫︎ ギリシャ型
: 人差し指が一番前に出ている
⚫︎ スクエア型
: 全ての指の位置が揃っている

パフォーマンスを考える

速く走ることや長く快適に乗り続けることを目的とした場合は、どの位置に取り付けるべきかと聞かれることがあります。そうした問い対して、私はクリート位置に正解と断言できる位置はないと伝えています。

それは、フレームのジオメトリーやクランクなどの機材的因子に、乗り手の身長や四肢の長さなどの身体的因子と掛け合わせると、最適となる考えられる位置は無数に存在するため、シチュエーションに応じて変更する必要があると考えているからです。

実際に、母指球基準に前後それぞれ15mmのクリート位置でタイムトライアルやスプリントをした際の運動生理学的な変化を調査した論文がありましたが、特にパフォーマンスが変わるということもなく( M Chartogne , 2022) 、別の論文ではサイクリングエコノミーが向上するといった変化もありませんでした ( JR Van Sickle Jr , 2007 / Carl D Paton , 2009 )。

とはいえ、クリート単体ではなく、サドルの高さなども考慮して全体的に最適なポジションを変化させた場合はパフォーマンスが向上すると考えられますので、パフォーマンスについて考える場合はポジションも同時に見直しましょう( S Jeroen , 2019 )。

 

膝の痛みを考える

また、膝が痛いという症状を改善したい場合は、痛みが出ないようにペダリングをおこなえるクリート位置が正解となるように、一部の目的に対しては正解に近い位置があると考えられます。

ペダリングにおける膝の痛みは、膝関節の剪断力や大腿四頭筋への負荷の大きさが原因と言われています。( TE Johnston , 2017 )

膝関節の剪断力や大腿四頭筋の負荷を軽減するためにクリートの前後位置を変えることで使用される筋肉(負荷のかかる筋肉)の割合が変化すると考えられていますが、実際のところクリート位置の変化に伴い使用される筋肉が異なると明確に示唆されている論文はありません。

そのため、クリートの前後位置の変化に伴って使用される筋肉は、感覚で表現されることが多く、前側にセットする状態では大腿四頭筋が、後側にセットした状態では大臀筋やハムストリングとが稼働しやすいと言われています。

確かに、ペダル上で足の置かれる位置が異なるため、膝関節の関節角度とトルクに変化があると考えられますが、イメージしやすい様に、サドルの前後・上下を変えないままクリート位置を調節した時のクランクの3時位置をもとに説明してみます。

クリートが前側に移動すれば、ペダル上で足の位置が後方に移動するため、膝関節が少し曲がる状態になり、踏み脚で膝関節を使うトルクが少し増えます。そのため、大腿四頭筋の可動が増えると考えられます。(※スクワットで例えると、膝がつま先よりも前に出る状態)

反対に、クリートが後方に移動すれば、ペダル上で足の位置が前方に移動するため、膝関節が少し伸びる状態になり、踏み脚で股関節を使うトルクが少し増えます。そのため、大臀筋やハムストリングの可動が増えると考えられます。(※スクワットで例えると、膝がつま先よりも前に出ない状態)

以上のことから、クリートを踵寄りにする方が、膝の痛みを軽減できるのではないかと考えらています。

ですが、サドルの前後・上下位置を調整することで膝関節への負荷を緩和することができると考えられるため、必ずしもクリートを前側に出すことが膝を痛めるわけでも、クリートを後側に引くことで膝の痛みが緩和するわけでもありません。パフォーマンスと同様に膝の痛みを考える場合はポジションも同時に見直しましょう( S Jeroen , 2019 )。

本記事のまとめ

パフォーマンス向上や膝の痛みの改善といった目的目標は、クリート位置のみでどうにかなるわけでなく、サドル高や前後位置といったポジションと合わせて達成することができます。

とはいえ、クリート位置とポジションを両方変えてしまうと、カラダの感覚が大きく変わり、うまくペダリングがおこなえない場合があります。

そのため、適切なペダリングが習得できるように、ニュートラル位置を基準にしながら、徐々にクリート位置を調整しながら適度な位置を探しましょう。

ペダリングでは、股関節・膝関節・脚関節の3つの関節が使用され、それらに付随する大臀筋・大腿四頭筋・ハムストリング・下腿三頭筋といった筋肉が使われる。

これらの筋肉は、自身のスキルによって使用される割合やタイミングが異なる。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

( AE Stuart,2021 ) The Effect of Cleat Position on Running Using Acceleration-Derived Data in the Context of Triathlons

( H François,2008 ) Electromyographic analysis of pedaling: a review

( M Chartogne , 2022 ) Acute effects of small changes in antero-posterior shoe-cleat position on physiological and biomechanical variables in road cycling

( JR Van Sickle Jr , 2007 ) Is economy of competitive cyclists affected by the anterior-posterior foot position on the pedal?

( Carl D Paton , 2009 ) Effects of shoe cleat position on physiology and performance of competitive cyclists.

( TE Johnston , 2017 ) THE INFLUENCE OF EXTRINSIC FACTORS ON KNEE BIOMECHANICS DURING CYCLING: A SYSTEMATIC REVIEW OF THE LITERATURE

( S Jeroen , 2019 ) Cycling Biomechanics Optimization-the (R) Evolution of Bicycle Fitting

● この記事を書いた人
伊藤透 ( プロフィールは こちら )

● 指導依頼について
・パーソナルトレーニングは こちら
・オンラインコーチングは こちら
・ロードバイクのフィッティングは こちら
>> その他、お客様の声はこちら
タイトルとURLをコピーしました